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ピアノの時間を たのしみに 過ごす


土曜日は
特に遠くから
月に1度のレッスンに
来られる方の多い日です。





幼稚園から教えてきた
20代後半の生徒さんは

このところ
歴史を遡って
かつて弾いた曲を
数曲持ってきます。



昨日は
小学校の頃弾いていた
久石譲さんのサマーと
ドビュッシーの夢でした。







レパートリーは
たくさんあります。

リストの ため息や
ショパンのワルツの数々
幻想即興曲や
ノクターンの数々。

ブラームスの間奏曲。
モーツァルトのソナタ。

などなど。




新しい曲する?
どうしたい?

ふと終わり頃 話してみました。



今は
自分の 
その時々の気持ちに寄り添ってくれる
曲を選んで自由に弾けるように

しばらくは
レパートリーを
深めたいと思います。

と 話してくれました。





気づくと

中学生も
新しい曲とともに
レパートリーを 
弾き深めています。




ピアノに
自分の静けさに対峙するように
向き合っています。







ゆったり ゆっくり
教えてあげてほしい。

学校のようである 必要はない。
塾のようにある 必要はない。

わたし(音楽)を よろこび
わたし(音楽)を 呼吸し
わたし(音楽)と 生きよ。






ある夜
しずまっていると
こころの 深みから
こんな 想いが 湧いてきました。









1月末には5週目があります。
レッスンは数日間
お休みにしました。



その期間
ゆっくりしました。



ある日は
庭の剪定や 土起こしをし


ある日は
煮込みを作り、

また
ある日は
母の家に行きました。



母は
わたしの 
ちいさな音楽の空間のために
刺繍のタペストリーを
製作してくれています。

その作品が仕上がったよ
と。






女の子たちが
野原でダンスをしています。

水飲場で
鳥が水しぶきに驚いています。


生徒さん たちが
音楽を たのしんで
よろこんでいるようでしょう。


母は少女のように
笑いながら言いました。





学校生活に
職場に
日々の営みのなかに あって

みんな みんな
すべきことや
チェックを入れていくことが
たくさん
あるのではないでしょうか。





呼吸できる場所。

やさしさの 泉に 浸れる場所。

自分自身の
素のままで いられる 音 との時間。




ちいさな 女の子は
レッスンで

ああ、たのしい
ああ、きもちいい

と言いました。


はっとしました。

そう感じ
そう言える 解放された心。

これが
先に 記した
音楽からの願いだ、と。





わたしのレッスンに通う
生徒さんたちは
みんな
レパートリーを大切にしています。


小学校から

エリーゼのために
乙女の祈り
ブルグミュラーの数々など
弾いて深まっています。




毎日の連続のなかで
レパートリー曲が
ともにあります。


わたしの教室は
学校の伴奏などを
必死に教えたりはしません。

あとから
学校で伴奏を弾きました、
決まりました、
と聞いてビックリすることは
しばしばです。


もちろん
本人がしたい、と希望を持っていたら
全面的に協力します。

が 大抵は 
オーディションで弾いて決まってから
報告されるのです。

そんな時
「こんなに チャレンジしている生徒さんがいます。コンクールも応援しています。
そして結果もでる教室です」


と 公開してあげたら
みんな 張り切りたくなるのかな。
それが みんなの願いかな、
少し申し訳なく 
悲しくなります。


でも

これに参加しよう!
チャンスがあれば掴もう!
積極的に 引っ張らない
わたしがいます。


それは
それ自体よりも
大切にしたいことがあり、
第1にしたいことを後にすると、
第1にしたいことを見失いやすい

自分の弱さを
よく知っているからだと思います。


正直な思いから生まれていない
レッスン内容は
生徒さんとの交わりが
なんだか
濁る気がするのです。



そんな自分は
なんだか不十分な気がして
休みの間は
少し 思い巡らしていました。





しかし
昨日
何よりの結果を
音楽の神さまは
見せてくれたように 感じました。




ピカピカの笑顔で来て
ピアノと静かに向き合う
おちびちゃん。


幼稚園から教えている
今は奥様になり
丸の内の銀行のお勤めをしながら
月に1度 弾きにくる女性。


子育てしながら、
いつか丸の内で好きな仕事をしたい、
と憧れ願い続け
それが 叶い、
毎日仕事へ向かう。
「弾く時間が減りましたが、
   その分 弾ける時間が尊くて。」
とおっしゃいながら
レパートリーを 数曲弾き
レッスンを楽しまれている女性。




部活動 しかも部長
塾に忙しいなか
ピアノに向き合って
ドビュッシーや シューベルトの
レパートリーを
そして
レッスン中のショパンの即興曲を弾く。



音大を卒業されてから
学校の先生になり
毎日 学校に早く行き
1時間はピアノを練習する
ショパンのエチュードを数々
弾き深めている 女性。


教会の奏楽者となり
毎週何曲も
メロディーしかない曲に
伴奏をつける。
仕事から帰宅して
夜中にヘッドホンをしてピアノに向かい
考え
生み出していく
OLの女性。



みんなみんな
向かうところがあります。




向かうところ

それは
ただ
音に。

音だけに。




その 積み重ねは
1年後
3年後
10年後 
ありたかった 結果と
なっているのでしょう。

はじめたかった
ほんとうの 思いの結果に。