イタリアのアッシジの
大富豪の息子
フランシスコが
戦闘で
病に倒れ、
いのちからがら
家路に
たどり着くところから
話は始まります。
病床のなかで、
騎士服を纏い馬に乗り
雄々しく
富と名声の 自己実現を
目指していた時代が
彼を
亡霊のように苦しめます。
回復への道は
こころの鎧が解かれていく道。
見えなかった方々。
「らい」谷に住まう
病の方々の暮らしなどに
恐れ戸惑いながら、
世の中の不条理をも
知っていきます。
と同時に
その不条理をも超える
ひかりに
目が開かれていきます。
まくらもとに訪れた
小さなすずめや、
散歩でたどり着いた
豊かな野原の 歌い咲く草花。
「ありのままで よろこびうたう」
創られた存在をとおし、
癒されて
「神のよろこびを仰ぎ見、
すべての存在のなかに
流れる神のいのち」
をたたえる心へと
変化していくのです。
何も持たずとも
すでに与えられている
被造物の世界を
よろこぶ生き方へと
変えられていきます。
どのシーンも
どのシーンも
自然の美しさ、
フランシスコの
清らかさに
目が覚める感動が
散りばめられています。
随所 随所から
こころの深みに
大切な小石が
残されていきます。
フランシスコが
廃墟になった教会を
日ごと日ごとの
手仕事を積みながら
建て直していくシーンは
印象的でした。
彼の清貧な姿を
富豪息子時代の親友たちは
「気がくるったのか」
「かかわらない方がいい」
と あざけります。
しかし
十字軍の遠征で
名誉を認められて帰った「ひとり」は
心配で 訪ねてきます。
雪降るなかの作業の傍ら、
友達は ただしずかに眺めています。
夜に
石造りの室内にて。
暖をとる火がパチパチ燃える前で
おのおの
あたたまります。
親友は 心配で訪れたのに
反対に
みずからの立ち位置…
名声、富、領地拡大、
この世における 豊かさに逆らい、
湧き上がる心の虚しさを
語っていました。
穏やかに
耳を傾け
宙をみるフランシスコ。
と
そばにあった
大きな石を見つけた
フランシスコ。
しずかな閃き驚きで
言います。
「この石はどこにあったんだ。
これは使える。」
すると親友は答えます。
「このような石が必要であれば
いつでも案内するよ」
フランシスコは
静かに語るのでした。
「君もこのように
生きた石であれ!
そして心に神殿を建てるのだ!」
コメントをお書きください